
衛星は予備衛星であるとされており、衛星の打上げには時間がかかるので、システムは21〜24で運用されることが保障されている。現在、衛星の打上げが進められており、1993年末には21衛星による運用開始が宣言される予定である。
システムの各衛星は電子時計を搭載しており、利用者は4衛星からの電波(各衛星からの電波はすべて1575.42MH7と共通であるが、それぞれの衛星からの電波はその距離測定用の符号で区別できる)を受信し、受信機でのデータ処理で受信位置の三次元(緯度・経度・高さ)の位置と時間と速度の測定ができる。船舶で二次元の位置の測定でよいときには13衛星からの電波を受信すればよい。このシステムは位置の測定に時間を必要としないので、毎秒一回の位置の測定と計算も可能である。すでに各種の受信機が入手可能で、初めにも述べたようにポケットに入るような小型で安価の受信機も出現している。GPSはGMDSSでは、インマルサットEGCの受信指定海域の位置センサ用などに使用される。
ドプラ効果
NNSSの測位原理であるドプラ効果は、1842年にオーストリアの物理学者C・J.Dopplerによって発見されているが、この発見は、星の色が地球から遠ざかる星と、近づいてくる星とで異なっているという現象からによるものであった。
このドプラ効果は、光、音および電波などの波動の振動数(周波数)がその波を出している波源と観測者のいずれか一方または両者が動くことによって、両者の間の距離が変化すると、波源が一定の振動数の波を出していても、観測者には異なる振動数の波として観測される現象であり、両者が近づいているときには振動数が増大して、また逆に遠ざかるときには振動数が減少して観測される。両者がたとえ動いていても、その両者間の距離が変化しないときは観測される振動数と送られる振動数は同じである。
これを数式で表わすと、いま、波の送出される周波数をf(Hz)、その伝搬速度をc(m/S)とし、波源と観測者との間の距離の変化をν(m/s)(これを視線速要という)とすると、観測周波数f'(Hz)はf'=/(c+ν)/cとなり、ドプラ効果により変化する(ドプラシフトを受ける)周波数分(ドプラ周波数という
ことがある)を4fとすると、

となる。
このことを別の形でもう一度説明する。いま図3.5で、Aを波源、Bを観測点とする。いま、Aから周波数fの波(電波)を出すとする。その波の波長λはその伝搬速度(電波の場合は光速)をcとするとλ=c/fである。A点とB点は固定されているとするとAから出た波は順次Bで受け取られる。t秒の間にBが受取る波の山の数(サイクル)はf×tである。なぜならば周波数fというのは1秒間のその波の振動数だからである。そして、AとBの間にはその波の分布が図のようにあり、これが上下しながら順次波がBに云わる。ABの間の距離をDとするとABの間に入る波の振動数はD/2となる。
さて、いま図の(b)に示すようにB点がt秒間にBからB’に移りAB’の距離がD’と狭くなったとする。そうするとAB’間に入る波の山数はD’/λと少なくなる。このことはBがまっすぐAに向ってB'に行かなくても図の(c)のように斜めにB”

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